3.一番大事な顧客が誰かを忘れない 短期的な売り上げを追うあまり自社のブランドエクイティを毀損し、既存客の離反を招いてしまう、これは日本企業にありがちな誤りである。例えば、以前変革のお手伝いをしたあるホテルチェーンでは、元々の上客である富裕層やパワーエリートの客数が落ち込む中で、稼働率を維持すべく団体客や外国人観光客に対する営業に力を入れていた。 結果、ロビーは団体客で常に混雑し雰囲気がせわしないものとなり、上客は益々遠ざかってしまった。一方で、団体客の獲得には値引きが必要となるため利益が薄く、まさに貧乏暇なし状態に陥ってしまっていた。加えて、既存顧客を軽視したホテルの姿勢は、悪い評判を呼びブランドイメージの棄損に拍車をかけていた。新規客を追いすぎてブランドを毀損 このホテルのそもそもの問題は、インフラに対する投資を怠たりハード面で外資系ホテルに見劣りしていたことや、従業員教育が画一的で現場が自律的に考えサービスを行える状態になかったことにあるのだが、そのような本質的な課題には手を触れず、営業主導で安易に売り上げを追ってしまったことが負のスパイラルの真因であった。