消費増税で国内消費の先行きに不透明感が増す中、日本を訪れる外国人の購買パワーが存在感を増している。円安や政府によるビザ発給緩和措置、格安航空(LCC)乗り入れ増加などが重なり、外国からの観光客は急増中。小売り業界では10月の免税対象品の拡大をチャンスと捉え、あらゆる場所で需要取り込みの強化を進めている。 <100万円以上の赤サンゴ> 「春節の時には、エスカレーター横から免税カウンターまで、赤いサンゴを並べた」(三越銀座店長の村上英之氏)。中国人観光客に人気の赤いサンゴを使った指輪は100―300万円と高額だ。しかし、ひとつは自分のため、もうひとつは親戚へのお土産と、複数点を買っていく人も珍しくないという。 三越銀座店の年間売上高は約700億円。外国人消費はこの5%程度、化粧品を入れれば7―8%がこれまでの水準だが、大西洋・三越伊勢丹ホールディングス社長は「今年度は、年間で10%を超えてくる可能性もある」と期待する。10%を超えれば、同社の売り上げに占める紳士服の割合(2014年3月期は10.8%)に迫る規模となる。 ...